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佐藤初女さん

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<人のために働く喜び>

人は、自分が満たされて喜びを感じると、
その次には、必ず他人のために何かをしようと、気持ちが変わってくるようです。
人のために働くということは、
私たちが生まれたときに、すでに与えられている天声だということを聞いたことがあります。
本当にそうだと思います。
誰かのために尽くすことによって与えられる心の底からの喜び、
私はそれを”霊的喜び”と呼んでいるのですが、
その霊的喜びを一度体験すると、生きていく上で、これ以上の感動はないと思っています。




<心は無尽蔵にある>

私の進む道をはっきりと示されたのは、ある主日の御ミサの説教でした。

「奉仕のない人生は意味がない。奉仕には犠牲が伴う。犠牲の伴わない奉仕は真の奉仕ではない」
と、私の敬愛するヴァレー神父さまが凛々しく語られたのです。

私は神父様のこの説教に大きく心を揺さぶられました。
この言葉は、それまでの私の生き方に対する問いかけでした。
それまでも、お腹がすいている人がいれば食べさせ、着るものがない人がいれば服をあげ、
ということはしていたのですが、それは自分が無理なくできる範囲でのことでした。

しかし、それではいけないんだ、ある線を一歩越えなければ本当の意味の奉仕ではない、
私は説教を聞きながら、体の中の血が駆け巡るようでした。

「特別な能力も、経済力も持たない、ほんの小さな存在である私に、これ以上何ができるんでしょう」

教会から家に帰る道々、私は神父さまの言葉を繰り返し繰り返し考えていました。
三月の雪解けの季節のことです。
その頃は道路も整備されていなかったので、車の泥はねを気遣って、何度も立ち止まりながら、
ずっとそのことだけを考え続けていました。
そして、ある交差点にさしかかって立ち止まったとき、ハッとひらめいたのです。

それは「心」でした。
心は水が湧き出るように無尽蔵に絶えることがない。
心を与えることは私にもできる。

こう考えついたとき、周囲の風景が突然明るくなったような気がして、私は本当に豊かな気持ちで満たされました。

これをきっかけとして、
私は、「他人を生かすことによって自分も生かされる」ということを実感として受け止められるようになりました。

多くの方に出会い、共に心を通わせ合って生きる、私の新しい人生が始まったのです。


 『おむすびの祈り』  佐藤初女さん 著   70p / 122p より
★映画「地球交響曲・第二番」で強烈な印象を残した、佐藤初女さんが東京で講演をなさいます。
詳しくは小さな森・東京のHP

by yogabeaware | 2011-05-18 01:39 | 佐藤初女